“亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者と共に”——— p.141
あの日失われた多くの命。 私たちはもう彼ら彼女らには出会えないのだろうか。 何事もなかったかのように暮らしてゆかねばならないのだろうか。 そうして他愛もなく話している時、私たちはふと気づく、こうして話している言葉を彼らも彼女らもまた話していたのではなかったか。 私たちが言葉を話す、と同時に言葉が私たちを話させる。 想像せよ。耳を澄ませば聞こえるはずだ。 そして語り続けよ。 未来のために。「想—像—ラジオ—」
羽鳥涼
BOOK'S SELECTION
被抑圧者の教育学
パウロ・フレイレ 著; 三砂ちづる 訳
亜紀書房
2011年
“抑圧者、被抑圧者、双方の人間性を回復しようとするとき、その闘いは意味をもつ。” ——— p.23
第三世界で識字教育を行ったパウロ・フレイレの代表作で ある。生活保障の分野で 1 冊と言われ、まずこの本を思い浮かべた。 1968 年初版の本書における被抑圧・抑圧の関係は、 現代を生きる私たちにあまりに身近だ。社会制度に変革が求められるとき、私たちはこの社会の抑圧者として、あるいは被抑圧者としてどのように現実を告発する言語・思考を獲得すべきか。いずれにせよ、それは果てしない人間化のための 闘いであり、本書はその指南書である。
大澤 茉実
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