“おるがごつ、海のぶえんの魚ば、朝に晩に食うて栄華しよるもんが、なにが水俣病か――。”——— p.68
一九六一(昭和三六)年。不知火海(八代海)に面し、はるか沖には天草諸島を望むその地にて、ある病が「発見」された。海と共にその地で暮らす人々は、工場排水に含まれるメチル水銀に毒された魚を食したことにより、次々と非業の死を遂げていった。記録やルポルタージュの域は超え出ている。本書は、著者石牟礼道子が「近代への呪術師」となるべく、いまだ故郷に立ち迷う死霊や生霊の言葉を背負い綴った、土地の匂いが濃く立ち昇る魂の文学である。
KBTK
BOOK'S SELECTION
日本の政治と言葉〈上〉 — 「自由」と「福祉」
石田雄 著
東京大学出版会
1989年
“一つの言葉が、いろいろな意味を持ちうる中で、 なぜある場合に一つの意味が支配的であるかを、その社会的・歴史的文脈の中で明らかにすることが必要なのである。” ——— p.6
あなたにとっての「自由」の言葉の主体は「リベルテ(個人)」ですか、それとも「リバティー(権力に対する市民)」ですか。“ことば”が独立した道具ではなく、「いつ・だれが・ どこで・なぜ」用いるかによって変化するものであることは、 分かっていても意識しづらい。「自由」や「福祉」など普遍的な価値を持つ言葉が、日本の政治史の中でどう変化してきたのか。この視点をもつことは同時に、それぞれの時代にとっての「価値」を再認識することでもあるのだ。
みつ
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