“すべての動物は平等である。しかしある動物は他の動物よりももっと平等である。”——— p.161
主にスターリン体制をモチーフとして、全体主義や独裁のように、権力が暴走して行く様子が寓意的に描かれている。 この「おとぎばなし」に登場するあらゆるものについて、我々は実際に人類が経験してきた具体的な事件や人名を思い浮かべることができる。 読むに従い、権力の暴走を許しているものが常に、その権力によって支配される動物たち自身の無知であり、鈍感さであり、無関心であることに気付かされる。 大衆としての彼らの姿に身につまされる。
黙字
BOOK'S SELECTION
びりっかすの神さま
岡田淳 作・絵
偕成社
1988年
“――いいじゃないか、そんなこと。ぼくはきみにそばにいてもらいたいんだ。だから、びりになる。” ——— p.48
転校してきた四年一組の教室で、始が見たのは、透き通った男。それはびりっかすの ところにだけ現れる神様だった。 学校教育に競争原理を持ち込み、子どもたちを競わせ、教室や地域の中に格差をつくることに、いったいどんな意味があるだろうか?「もっとがんばれ」と言う大人の思惑とは裏腹に、「神様」を見たいがためにびりになることに夢中になる子どもたち。やがて彼らは、一番になるために頑張ることよりもっと大事なことを、教室の中で見つけていく。
内山望
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