“わたしは言葉を憎み、言葉を愛してきた。”——— p.659
「言葉」で世界を征服しようとしたナチス政権下のドイツで、少女は「言葉」で尊厳を守ろうとする。 少女の家に匿われたユダヤの青年は、『我が闘争』を白く塗りつぶし、愛の物語を書き込む。 この人たちのことを私たちに語るのは、死神だ。連合軍がドイツの小さな町を空爆した日、少女と青年に尊厳と愛を教えた人々は殺された。 書かれた「言葉」も失われたが、死神が拾いあげたのだ。 この作品は、欧米で異例のロングセラーとなり、映画化もされている。
これつ早川書房 2007年
マークース・ズーサック 著; 入江真佐子 訳
“わたしは言葉を憎み、言葉を愛してきた。”——— p.659
「言葉」で世界を征服しようとしたナチス政権下のドイツで、少女は「言葉」で尊厳を守ろうとする。 少女の家に匿われたユダヤの青年は、『我が闘争』を白く塗りつぶし、愛の物語を書き込む。 この人たちのことを私たちに語るのは、死神だ。連合軍がドイツの小さな町を空爆した日、少女と青年に尊厳と愛を教えた人々は殺された。 書かれた「言葉」も失われたが、死神が拾いあげたのだ。 この作品は、欧米で異例のロングセラーとなり、映画化もされている。
これつ“もともと総統は単なる首相であった。もちろん彼はそれまでの誰よりも冷酷で、かつ 1933 年の全権委任法によってずっと強大な権力を持つようになった...”
「ナチスの手口に学べ」と、ある時この国の副総理は言った。世界一民主的な憲法だと言われたワイマール憲法がある日気づいたらナチス憲法に変わっていた、その手口を学べと。そしてその新しい憲法草案には、1933 年の全権委任法と同じく内閣に立法出来る権利を持たせる、国家緊急権が定められている。単なる首相 が「総統」に変わってしまう前に私たちこそが、「ナチスの手口」 を学ぼう。きっとこの第一級の研究書は、ナチスと同時代を生きた著者から渡された本だ。歴史を繰り返さないために。
平葉