“心は、なにものにもへだてられることなく、ほかの人の心にまでとどきます。”——— p.4
戦地から離れて過ごしたミリーにとっての三日間は、戦地に残った母の過ごした30年間だった。 私たちは偶然にも1日を1日とし、1分を、1秒を、誰に奪われることなく生きることのできる場所で過ごしている。 あなたが愛する人と食事をし、笑い、眠りに就くまでの一日を、同じ命として生き残るために秒針が一つ先へ進む86400回分、命がけで過ごしている人たちがいる。 どこかでそれを知りながら、私たちはまた今日「一日」を過ごしている。
紅子
BOOK'S SELECTION
本泥棒
マークース・ズーサック 著; 入江真佐子 訳
早川書房
2007年
“わたしは言葉を憎み、言葉を愛してきた。” ——— p.659
「言葉」で世界を征服しようとしたナチス政権下のドイツで、少女は「言葉」で尊厳を守ろうとする。 少女の家に匿われたユダヤの青年は、『我が闘争』を白く塗りつぶし、愛の物語を書き込む。 この人たちのことを私たちに語るのは、死神だ。連合軍がドイツの小さな町を空爆した日、少女と青年に尊厳と愛を教えた人々は殺された。 書かれた「言葉」も失われたが、死神が拾いあげたのだ。 この作品は、欧米で異例のロングセラーとなり、映画化もされている。
これつ
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