“――日本が敗けよった、言うたんやい。 ――どアホ。”——— p.477
1941年から敗戦までの、少年・洋の物語。 父を失った彼を見守るのは、元やくざの佐脇さんだ。 軍国主義の日本は「皇国の勝利のため、国民は皆、皇兵」という空気だが、少年の頭にさかんに明滅する広告の文言は「頑張るぞ、今年も!決意の戦場に仁丹あり」「逞しく玄米を噛みしめませう-歯を丈夫にするライオン歯磨」というばかばかしさ。 が、その軽さには、私たちも覚えがある。 小説だからこそ明確に伝わる軍国主義社会での細かな日常。 大阪弁が魅力的。
これつ
BOOK'S SELECTION
戦争プロパガンダ10の法則
アンヌ・モレリ 著; 永田千奈 訳
草思社文庫
2015年
“戦争プロパガンダは「戦時中」だけでは なく、「開戦前」から始まっているのだ。” ——— p.102
戦争なんか起こるわけがない。きっと全ての戦争はそうした前提から始まる。しかし歴史上の事実として戦争は繰り返されてきた。それを起こしてきた言葉には共通点があると、この本は10の法則に纏めている。「我々は戦争をしたくはない」が、「敵側が一方的に戦争を望んでいる」。そして「この正義に疑問を投げ かける者は裏切り者」だ、「愛国心がない」といって戦争は止まらなくなる。この国でまた「仕方が無く」戦争を起こさないため、 その思考を止めないために、今こそ読まれるべき一冊。
平葉
POST(ポスト)は、様々なかたちで日本の政治や選挙について考えるきっかけを提供するウェブサイトです。