“核兵器は、国際法で禁止されていない唯一の大量 破壊兵器である。”——— p.16
核兵器は最も非人道的な大量破壊兵器だ。しかし、そんな兵器 が現在も世界に 1 万 5 千発以上存在している。ヒロシマ・ナガサキの経験をもつ日本政府は「核兵器廃絶」を訴えながら、一方で国 際的な動きである「核兵器禁止条約」には消極的だ。核兵器を是認するリアリストはこう言う―「抑止力として核は必要で、禁止条約は時期尚早でありユートピア主義だ」と。本当にそうだろうか? 国際 NGO の現場で運動を続けてきた作者が「核なき世界」への “現実的” な道筋としての核兵器禁止条約を説明する。
斎藤雅史
BOOK'S SELECTION
僕は、そして僕たちはどう生きるか
梨木香歩 著
理論社
2011年
“僕を信じて付いてきた、あのニワトリを守り切れなかった。” ——— p.228
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』は、盧溝橋事件の年に出た。 軍国主義が社会を覆い、言論が弾圧されていくなか、子どもたちに向けて計画されたシリーズの一冊だった。 この命がけの「君たちは、どう生きるのか」という問いを、著者は現在のなかに受けとめ、 「僕は」「僕たちは」という主語を置いた。性暴力、個と集団、兵役拒否、開発と自然破壊などを織り込み、自ら魂を殺害し戦争に適応する人間の姿を丹念に捉えた。70年前と今が鮮やかに繋がる。
かりん
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