“核兵器は、国際法で禁止されていない唯一の大量 破壊兵器である。”——— p.16
核兵器は最も非人道的な大量破壊兵器だ。しかし、そんな兵器 が現在も世界に 1 万 5 千発以上存在している。ヒロシマ・ナガサキの経験をもつ日本政府は「核兵器廃絶」を訴えながら、一方で国 際的な動きである「核兵器禁止条約」には消極的だ。核兵器を是認するリアリストはこう言う―「抑止力として核は必要で、禁止条約は時期尚早でありユートピア主義だ」と。本当にそうだろうか? 国際 NGO の現場で運動を続けてきた作者が「核なき世界」への “現実的” な道筋としての核兵器禁止条約を説明する。
斎藤雅史
BOOK'S SELECTION
〈私〉時代のデモクラシー
宇野重規 著
岩波新書
2010年
“あなたは、誰と一緒に < 私たち > を形成していますか。” ——— p.X
現代では社会関係の唯一の起点が〈私〉になっている。 〈私〉は一人ひとりが強い自意識を持つ。しかし、社会全体としてみると似通っていて、誰一人特別な〈私〉はいない。 どこかで不安や不満を抱えている〈私〉と、路上で声をあげ る〈私〉。立場や理想の違いを越えて〈私〉同士が出会い、 〈私たち〉の輪を広げる努力をすること。求められる民主主義のかたち。政治哲学の研究者である著者の、〈私〉と政治 を結びつける新しい回路を模索する一冊。
藤木耀
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