“光が強ければ強いほど影の色が濃くなるように、 日米安保の黒い影は、沖縄の米軍基地の周囲で大きく広がっている。”——— p.27
戦後、特に1972年に日本国憲法が適用されてから、沖縄は 「日本国民」に問い続けている。平和的生存権、所有権、環境権、思想・良心・宗教の自由、学問の自由、地方自治…… これら憲法に書かれている文言を。本書は沖縄の現実と日本国憲法との狭間を照射し、そのズレを浮き彫りにする。それは沖縄だけに留まらない普遍性を持つ。歪みながら癒着する 「憲法体系」と「安保法体系」。この二つの法体系を持つ国 に生きる者が、現実を直視し応えるための一冊。
元山仁士郎
BOOK'S SELECTION
集団的自衛権はなぜ違憲なのか
木村草太 著
晶文社
2015年
“ということで、結論はこうだ。憲法を燃やすことは、 国家を燃やすことである。” ——— p.125
「憲法守れ!」―こんなことを叫ばなければならない日がくるなんて、誰が想像しただろう。政府が行った解釈改憲は、「法的認識」を越えたものだ。今や市民は、立憲主義を蔑ろにして暴走する権力に歯止めをかける理性的な人間として、 教養を求められるようになった。憲法学的見地からの著者の指摘の数々は、憲法を骨抜きにした法案に危うさを覚えて集った人々の、支えにも、武器にもなり得るだろう。 私たちが強くなれば、きっとまだ間に合う。
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