“光が強ければ強いほど影の色が濃くなるように、 日米安保の黒い影は、沖縄の米軍基地の周囲で大きく広がっている。”——— p.27
戦後、特に1972年に日本国憲法が適用されてから、沖縄は 「日本国民」に問い続けている。平和的生存権、所有権、環境権、思想・良心・宗教の自由、学問の自由、地方自治…… これら憲法に書かれている文言を。本書は沖縄の現実と日本国憲法との狭間を照射し、そのズレを浮き彫りにする。それは沖縄だけに留まらない普遍性を持つ。歪みながら癒着する 「憲法体系」と「安保法体系」。この二つの法体系を持つ国 に生きる者が、現実を直視し応えるための一冊。
元山仁士郎
BOOK'S SELECTION
[新訳・評注]歴史の概念について
ヴァルター・ベンヤミン 著; 鹿島徹 訳・評注
未來社
2015年
“わたしたちにはかすかなメシア的な力が付与されていることになる。過去はこの力が発揮されることを要求しているのだ。” ——— p.46
ナチスに追われ亡命していたその危機の中で、「歴史」につい て書き残されたこの著作を戦後71年目のこの国でいま、この時 に読むこと。それは現在の時が危機にある時には「過去」もまた 危機にあり、そしてそれを救うことが出来るのもまた「いま」に いる「わたしたち」だと、気づかせてくれることだ。「歴史修正主義」 と言われる政治状況に対して、わたしたちは過去に、歴史に対し てどう向き合って行くべきなのか。その強いヒントをこの一冊は、 素晴らしい、真摯な訳と共に与えてくれる。
平葉
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