“われわれは、立憲主義を侮蔑し、「力」への信仰に走った国々によってあの第二次世界大戦という未曾有の悲劇が引き起こされたことを決して忘れてはならない” ——— p.11
この本は私にとって「立憲主義」を知るための道しるべで す。古代ギリシャから続く歴史を辿り、現代世界においてどのような意味をもつかが描かれています。そしてそれは、 「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果(憲法97条)」な のです。憲法学の権威である佐藤先生の研究の集大成ともいえる本作品。過去に起こった悲劇の背景を忘れてはならないと警笛を鳴らしているようにも思えます。憲法改正問題でゆ れる現代。今こそ手にとって欲しい一冊です。
岡歩美
BOOK'S SELECTION
「存在の現れ」の政治 — 水俣病という思想
栗原彬 著
以文社
2005年
“加害と被害の溶融という新しい地平から、人間であることに対する深い問いが生まれてきます。” ——— p.30
水俣の運動史から「存在」が現れ「新しい人間像」が浮かび上がる。 中央と周辺に分かれた人々は、それぞれの立場からの視点で生を捉えようとする。 視線が交差するグレイゾーンで踏みとどまると、お互いに一方的なこの視線が溶け合うような生が表れる。 他者を支配する権力位置を離脱して、あるがままの人間として肩を並べて加害と被害のグレイゾーンを突破していく。 オキナワ・フクシマにも通ずる“まなざし”をこの本から養いたい。
みつ
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