“不満の焦点を問題の本当の焦点に向けなおすことが必要だ。世界中で地域社会を破壊し、不安 定な状態にしているのは、大企業と独占的な利 潤追求行動なのである。”——— p.178
デモクラシーの時代は終わった。今や多くの先進民主主義諸国で選挙システムは形骸化し、実質的には大企業が政治を動かし、その結果、経済格差の拡大と貧困化が進行している。 悲観的でも何でもない、筆者が描くのはこの社会の確かなリアルだ。本書後半では、そんなリアルに抗するための政治プロジェクトにまで踏み込んで議論が展開される。冷静に現状を把握し、現実的な一手を打つ。その積み重ねこそが、デモ クラシーを再起動させる。
塩田潤
BOOK'S SELECTION
批判的想像力のために — グローバル化時代の日本
テッサ・モーリス=スズキ 著
平凡社ライブラリー
2013年
“すなわち、『責任』は、わたしたちが作った。 しかし、『連累』は、私たちを作った。” ——— p.67
この本は、九〇年代の終りから二十一世紀の変わり目にか けての、特に「歴史」をめぐる言説状況についての論集です。 そして、右旋回を目の当たりにするグローバル化時代の現代において、「言葉」を思考するための必読書です。「ネオリベラリズム」、そして「虚無的ナショナリズム」は、この本 が初めて世に出てから、むしろ悪化しているようにも見えます。「想像力の危機」に抗する、越境的な「言葉」の可能性 について。
SOB
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