“政治的な行動や動機の基因と考えられる、特殊政治的な区別とは、友と敵という区別である。”——— p.15
道徳的なものは善と悪を、美的なものは美と醜を、経済的な ものは利と害を区別して考える。では、政治は? 政治は友と敵を区別し、最悪の場合、殺しあう。政治こそが最も根本的な対立なのだ。そう言ったのは一時的にナチスに加担したシュミットだった。しかしそれは、無視していい過去の遺産ではない。 政治的なものは未だに譲れないもの同士の戦いとして続いてい る。「敵」との対話可能性を探るために、まずシュミットと格 闘しよう。シュトラウスの注解も併せて読まれたい。
UCD
BOOK'S SELECTION
憲法とは何か
長谷部恭男 著
岩波新書
2006年
“境界線はそれ自体が目的ではない。” ——— p.187
この社会に生きる私たちは、一人ひとり違う。私は私で、 あなたはあなたでしかない。だからこそ、時に社会には対立や紛争が生まれる。しかし、たとえそうであったとしても、 私たちは他者の存在なくしては生きていけない。互いの違いを認め合い、多様性に富んだ社会に生きるための知恵として、 憲法や立憲主義は作り上げられてきた。単純な「護憲論」や「改憲論」ではなく、憲法や立憲主義の思想的背景を紐解くことで、筆者は根本から憲法を問い直す。
塩田潤
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