“具体的な権利は抽象的な法から生命と力を受け取るだけでなく、抽象的な法にそのお返しをするのである。”——— p.80
個人的に「権利」は、「法律によって決められた抽象的なルール」というイメージだった。実体のない、空っぽな理念 だと。本書を読んだ。その実体なき権利感覚は、自分の生活 が侵害されて、ようやく身体に刻まれるのだと。他者の不当な介入への怒り、苦しみの感情がその兆候であると。そして、 理念は市民が現状を認識しようとする意思から初めて生まれるのだと。空虚な「権利」という言葉に価値を与えるのは、 紛れもなく当の僕自身だったのだと学んだ。
Dai
BOOK'S SELECTION
老い衰えゆくことの発見
天田城介 著
角川選書
2011年
“老い衰えゆく当事者もその家族も、自らの自尊心やプライドを保持することを通じた生存のための闘いを、日々実践している。” ——— p.50
高齢化社会のなかで、介護をはじめとしたお年寄りとの付き合い方を他人事として語ることは難しくなっている。本書は〈老い衰えゆくこと〉を徹底的に見つめつつ、〈老い衰えゆくこと〉から戦後日本の社会制度を理解しようとする。 これまで「できる」はずだったことが「できない」ことになっていく過程。引き裂かれるプライド。抵抗のドラマ。それらを構成する戦後日本史。「多様な〈老い〉が、多様なまま生きることができる社会」へ向けて。
SOB
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